2009年7月16日

あなたの精子、4600円で買います


「生まれてからずっと、パパは誰よりもすばらしい最高のパパでした」。先日盛大に執り行われたマイケル・ジャクソンの葬式で最もインパクトを与えたのは、初めて公の場に姿を現して弔辞を呼んだマイケルの十一歳になる娘パリスちゃんだった。健気、そしてキュート。だがそれは新たな謎を生んだ。彼女にアフリカ系の血が半分入っているようには見えないのだ。パリスちゃんと兄のプリンス君の母親は、マイケルの二番目の妻である白人女性デビー・ロウだ。マイケルの担当皮膚科医のアーノルド・クラインの助手だったデビーは、マイケルが子どもを欲しがっているのを聞きつけて「わたしが卵子をあげる」と名乗り出て、マイケルの精子を受精して妊娠した。マイケルとはセックスを一回もしなかったという。かくして噂が飛び交った。「精子はクラインのものだったのではないか」「いや、デビーは単なる代理母で、遺伝的な母親は別にいるはずだ」。事実、マイケルの末っ子プリンス=マイケル二世君は、マイケルがどこからか買って来た卵子を使って、代理母に出産させた子どもと言われている。代理母制度といえば、『セックス・アンド・ザ・シティ』の人気女優サラ=ジェシカ・パーカーも最近利用した一人。既に一児の母であるパーカーだが、44歳という高齢かつ多忙なため今回は出産を他人に任せたようだ。
受精した自分の卵子を他人の胎内で育てて産ませる代理母出産は、日本で禁止されているため、セレブしか利用できない高額医療行為と思われがちだ。しかし実は本国ではそれほど高くはない。先日DVDがリリースされたコメディ『ベイビー・ママ』を見ると良く分かる。主人公(演じるは共和党副大統領候補サラ・ペイリンの物真似で一躍時の人になったコメディエンヌ、ティナ・フェイ)は高額の給料を稼ぐキャリアウーマン。男運がないため結婚は考えていないけど突然子どもが欲しくなり、精子バンクから精子を買ってくるものの、妊娠困難な体であるとの診断が下されたことと上司からビッグ・プロジェクトの責任者に任じられたことが重なって、代理母制度を利用する。劇中の費用は10万ドル(約920万円)。たしかに安くはない。けれどジャガーやポルシェの新車とい比べれば遥かに安い。スポーツカーをステイタスシンボルと考えないキャリア女子なら「買いの商品」だろう。精子バンクを利用すれば、顔、人種、瞳の色、身長、職種、知能指数などについて自分が自由に選んだ精子を使って自分の子どもを作れるのだから。しかも精子は遺伝病など徹底的に検査されている。普通の恋愛結婚より理想の子どもをゲット出来る確率は遥かに高いのである。まさに子どものカスタムメイド!
もちろんノーベル賞受賞者やアスリートの精子などは何百万円もするけど、一般的な精子の価格は経費を入れても10万円程度。自力妊娠を覚悟するなら費用はそれだけで済む。このため、シングル女子やレズビアン・カップルの片割れが精子バンクを利用して自分好みの子を出産するケースが全米で年間2万〜4万件あるそうだ。人気の精子はやはり「白人/大卒/身長180センチ以上」のもの。これらの条件に合致した者の精子を精子バンクは“一発”50ドル(約4600円)で買い取っており、貧乏大学生には格好のバイトになっているようだ(ちなみに卵子はもっと高く売れる。『恋はまけない』では学費捻出に悩むヒロインが劇中で卵子売却を検討し、『アリーmyラブ』の主人公アリーはハーヴァード大学の学費捻出のために卵子を売った経験があるという設定だった)。彼らのプライバシーは厳重に守られ、精子を買った相手に知られることは決していない。
しかし、成長した子どもが父親を知りたがる、はたまた母親が育児に不安を覚えて父親に会いたくなる・・・といったケースが続出。こうしたニーズに応えて現在ネット上には「donor sibling registry」という検索サイトが存在する。そこでは母親たちが精子ドナーナンバーや病院から知らされた父親の諸条件、精子採取場所などをエントリーして、父親たちからのアクセスを待ち続けている。本国版「GQ」の記事によると、過去にバイト経験がある男が試しに自分の精子ドナーナンバーを入力したところ、7人の子持ちだったことを知ったそうだ。また別の人物は、自分の子どもにネット上で初対面した。母親が動画をアップしていたのだ。彼は突然猛烈な責任感と羞恥心を覚えたそうだ。そりゃそうだ、本人にとってはオナニーして金をもらえる楽なバイトでしかなかったのだから。
「donor sibling registry」の面白い使用法として、同じ男から精子をもらった女性たちが知り合って交流を深め合うというのもあるようだ。子どもたちの性格が似ているため、効果的な育児方法を相談しあえるのだそう。”半分兄弟”と対面した子どもたちはすぐ仲良くなるそうだ。もしかしたらパリスちゃんたちの”半分兄弟”もアメリカのどこかにいるのかもしれない。

2009年7月14日

7月第2週

公開中の『モンスターVSエイリアン』の劇場パンフレットに劇中音楽についてのコラムを書いています。

B-52's「Planet Claire」

この曲が主題歌扱いなのだから素晴らしい。

サントリーの角瓶、横浜開港150周年記念限定バージョン。柳原良平、最高。これでハイボールを飲んでいる。


Maxwell 「BLACKsummers'night 」
新作がいっこうに出ないR&B界のカリスマといえばディアンジェロだけど、この人も実は8年ぶりの新作なのだった。そして僕はディアンジェロよりマックスウェル派なんである。なぜならアーバン&クリスタルだから! ディアンジェロの音楽を度数高めのジン&ジュースに喩えるなら、さしずめマックスウェルのそれはよく冷えたスパークリングワインなのだ。基本的な音楽性に全く変化はないけど、ヴォーカルは”男シャーデー”の風情が消えて王道R&Bをやっているときの殿下みたいなスタイルに。全9曲というコンパクトな構成もいい・・・と思ったら、来年に「blackSUMMERs'night 」、再来年に「blacksummers'NIGHT 」がリリースされるだとか。企画倒れにならないことを祈りたい。

銀行で順番待ちをしているときに眺めていた「レタスクラブ」のケンタロウの料理がえらく簡単そうだったので、メモって実際に作ってみた。牛肉とキャベツのマスタード炒めと豆腐とニラと桜えびの和え物。これは失敗しようがない。そして(悔しいけど)そこそこ美味いのだった。


『扉をたたく人』を観た。
プロットだけ読むと社会派ドラマっぽいけど、実はクラシックしか知らなかったお固いWASPの老人が、フェラ・クティの魅力に目覚めて自己解放されるという音楽バナでもある。抑制の利いた演出が上手いし、色々作られた「911映画」の中では一番かも。

Fela Kuti "Je'nwi Teni (Don't Gag Me)"


『ノウイング』も観た。
終盤に「あるもの」を目撃して膝をついて驚くニコラス・ケイジは、彼にとっては『アダプテーション』以来のベストアクト。『2012』(マヤ暦に記された世界の週末がジョン・キューザックを襲う!)もあるし、今年も「ムー映画」は豊作だ。そして来年のテレンス・マリックの新作『Tree Of Life』が待ち遠しい。何でも、ブラピ父さんの遺言をもとにショーン・ペンが永遠の生命の木を探しに中南米のジャングル奥地を探検したら、そこには恐竜王国が広がっていた! ・・・という驚愕のストーリーらしい。前作『ニューワールド』は完全アナログ撮影だったけど今回はIMAX映画らしい。