2011年11月15日火曜日

二の酉の備忘録

写真は、二の酉の花園神社。

 ただ今発売中の「bmr (ビーエムアール) 2011年 12月号」(月刊としては最終号)で、Jコール『Cole World: the Sideline Story』DJシャドウ『Less You Know the Better』フォンテ『Charity Starts at Home』のアルバム評のほか、「ブラックミュージックとユダヤ人」というお題でかなり長い文章を書きました。「文化系のためのヒップホップ入門」でも触れたトピックに思いっきり踏み込んでいますので、よろしく。またこの号では丸屋編集長じきじきに「文化系のためのヒップホップ入門」を紹介していただきました。ありがとうございます。ちなみに書評は出版社に知らされないで行われることもままあるので、「書評をあの雑誌で見た」という事があったら知らせてくれると大変有り難いです。

 Zo! - Black Cow feat. Phonte and Sy Smith
仲良しの鍵盤奏者Zo!のカバーアルバム(ダウンロードフリー物)で、フォンテがスティーリー・ダンのあの曲を熱唱。 

その「文化系のためのヒップホップ入門」の共著者である大和田俊之さんが、「アメリカ音楽史ーーミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで」で今年のサントリー学芸賞を受賞しました! 選評受賞の言葉。 「文化系の・・・」で、「湘南爆走族」のことを嬉々として語っていることがバレて、賞を取り消されないか心配ですが、何はともあれおめでとうございます。モルツで乾杯だ! というわけで、サントリー学芸賞作品(を書いた人が著者に名を連ねる)「文化系のためのヒップホップ入門」を引き続きよろしくお願いいたします!

 それと、私のブログの総集編『長谷川町蔵の文章 2009〜2010』をlilmagさんで委託販売してもらうことになりました。他のクールなジンのついでにどうぞ。値段も特別価格にしています。ちなみに「長谷川町蔵の文章2001~2004」はパブーでチャリティ電子書籍として発売中。残る「長谷川町蔵の文章2005~2008」も今年中にはパブーでチャリティ販売しようかと思っています。現在ヒマを見つけて編集中。

  『マネーボール』を観た。ブラピ演じる主人公ビリー・ビーンの右腕のリサーチャーは、実際はポール・デポデスタ(現メッツのヴァイス・プレジデント)という名で、ルックスもかなり違う。デポデスタが映画に名前を出されるのを嫌がったことで、当初予定されていたディミトリ・マーティンからジョナ・ヒルに交代して架空のキャラになったそうだ。しかしジョナ・ヒル起用には意味がある。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』での彼があの役を演じたことで、映画は単なるサクセスストーリーからブラピとジョナのブロマンス映画に変質したのである。ちなみにヒル参加が決まってから、脚本をリライトしたのは、『ソーシャル・ネットワーク』でIT業界の実録物を学園映画に改変してしまったアーロン・ソーキン。しかしこれを観てつくづく感じたのは、雑誌編集者もマネーボール理論を導入して欲しいということ。ネームバリューだけ高いライターの代わりに、出塁率が高い(文章を書かせりゃ面白い)けどくすぶってるライターばかりを集めて部数を倍増にするなんて、実現したらロマンじゃないですか! 

こちらもおすすめ→『スーパーバッド 童貞ウォーズ』

  エマ・ストーンの『Easy A』はなぜ邦題を『エマ・ストーンの少女A』にしなかったのだろう? 

  A.J.ジェイコブス「聖書男」読了。1年間、聖書の文面通りに生活することにチャレンジした「エスクワイア」誌ライターの体験本。文面通りに、月の初めの日に笛を吹き、混紡の服は着ず、生理中の女性には触らない。そしてクリスマスもハヌカも祝わない(聖書に書いていないから)。そんな人体実験を通して、進化論や中絶を否定する福音派も実は聖書の都合のよい部分だけを忠実に実践しているだけであることが明かされていく。古代に書かれた聖書通りに生きるのは不可能なのだ。ただし著者はユダヤ人で、旧約の教えを守ることは自らのルーツを訪ねることになるため、そこいらへんで精神的変容が起こったりする(日本人なら絶対ない)。あまり宗教的とは言えない著者は、甲殻類も豚も食べているようだが、本来ユダヤ教では食べてはいけないことになっており、他にも牛肉と牛乳を一緒に食べられないなど食事規制が色々とある。ユダヤ系のセレブにベジタリアンが多いのは、元々食べるものに制限があるため、移行が楽というのは絶対あると思う。 

ダコタ・ファニングのマーク・ジェイコブスのadが英国でチャイルドポルノっぽいという理由で締め出し。これで駄目という国もあるという事を認識した方がいい。

Yonda?Clubの全員当たるプレゼント「文豪リストウォッチ」をゲットすべく、新潮文庫を50冊読むことを決意。主に海外文学を攻めるつもり。一冊目は、西洋的思考のルーツを訪ねて、プラトーン「ソークラテスの弁明、クリトーン、パイドーン」に決定!  「ソークラテスの弁明」は、死刑宣告されたソクラテスが法廷で弁明する様を弟子のプラトンが津田ったもの。「クリトーン」は脱獄を勧める親友クリトーンとの対話、「パイドーン」はソクラテスの死ぬ直前の対話をやはり再現したもの。ソフィストの対極を行く男とされるソクラテスだけど、実はあらゆるレトリックを駆使する詭弁王だったことが発覚。しかも他人に対しては「お前バカだろ、なぜなら~」と無茶苦茶攻撃しておきながら、自分への攻撃に対しては「いや~俺はバカだからさ」と華麗にスルー。あんたズルいよ!ソクラテス出現後のアテネでは、彼に傾倒する若者が続出。偉い思想家が論破されて恥をかかされたとか。思想界に無政府状態が出現したのである。現在の学界でそんな奴が出て来たら、いつまでも教授にはなれないはず。古代アテネではそれが”死刑”に相当したということなのだろう。 

東京映画祭で観た、『サブマリン』についてのメモ。 監督&脚本はアークティック・モンキーズやヴァンパイア・ウィークエンドのプロモ監督にして、「ハイっ、こちらIT課」のギーク役で知られるリチャード・アヨエイド。彼はナイジェリア人とノルウェイ人のハーフだが、本作は1986年のウェールズの地方都市を舞台に、15歳の少年の初体験と家族の危機が描かれるカミング・オブ・エイジ物。
もちろん80年代の脱力気味の風俗描写はあるのだけど、映画のスタイルとしてはそれ以前の時代の青春映画へのオマージュの方が強い。妄想や死へのオブセッション、無表情演技、主人公を演じるクレイグ・ロバーツを見て、『ハロルドとモード』のバッド・コートを思い出す人は多いはず。アレックス・ターナーによる挿入曲も完全にあの映画のキャット・スティーヴンスを意識しているし。
でもアヨエイドが狙ったのは、元祖無表情演技男ジャン・ピエール・レオーのドワネル物に代表されるヌーヴェルヴァーグなんだと思う。ヒロインのヤスミン・ペイジが、アンナ・カリーナみたいなショートボブだし。二人のデートシーンとか滅茶苦茶キラキラしてる。もっとも場所が田舎なので、爆竹ばかりやってるのだけど(完全に田舎のヤンキー)。 そういう意味で一番良く似ている映画は、ケン・ラッセルが64年に撮った『フレンチ・ドレッシング』かもしれない。英国の寂れた港町が、村おこしでカンヌ映画祭のバッタものを開催しようとする話。音楽はトリュフォー御用達のジョルジュ・ドリュリュー!

『Submarine』予告編
  

 『フレンチ・ドレッシング』
 
あのケン・ラッセルとは到底思えない爽やかさ! 

ヘヴィDが亡くなった。ご冥福をお祈りします。

 Heavy D, The Boyz, Kool G Rap, Grand Puba, CL Smooth, Big Daddy Kane, Pete Rock,Q-Tip - Don't Curse
 
これだけのメンツを集められたのも、本人の人徳あってこそ。皆素晴らしいけど、ケインがヤバすぎる!

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