13年前のコラム


「R25」が4月で休刊するとのニュースを聞いたので、2004年3月に発行された「プレ創刊最終号」に書いたコッポラ一族についてのコラムを恥を忍んで掲載します。




 2月29日に開催されたアカデミー賞の授賞式で『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』のスタッフ以上に目立っていたのは、客席の中央に陣取ったある集団だった。巨匠フランシス・フォード・コッポラを筆頭とする”コッポラ・ファミリー”である。この一家、当主が最近仕事をしていないにも係わらず、彼の代表作『ゴッドファーザー』のマフィアさながらの結束を武器に、今やハリウッドを支配する勢いなのだ。

 まずフランシスの長女ソフィア。4部門にノミネートされた『ロスト・イン・トランスレーション』の監督と脚本を手掛けたのは彼女である。ビル・マーレーを主演に迎えた同作は、全編東京でロケ撮影されており、異邦人の目で捉えられた西新宿や渋谷のセンター街の風景がえらくファンタジック。藤井隆の「マシュー‘SベストヒットTV」をそのまんま引用したりと演出もポップで、見事最優秀脚本賞を受賞した。

 またこの日、プレゼンターとして登場したオスカー俳優ニコラス・ケイジはフランシスの甥、つまりソフィアの従兄弟だし、『シービスケット』で最優秀撮影賞にノミネートされた撮影監督ジャック・シュワルツマンも、フランシスの妹で『ロッキー』のエイドリアン役で有名な女優タリア・シャイアの義理の息子だ。そう、今回のアカデミー賞は“コッポラ家の祭典”だったのだ!ついでに言うと、ソフィアの兄ローマンも監督で、タリアの実子ジェイソン・シュワルツマンは俳優。将来は彼らがオスカー候補に挙がるかもしれない。

 とはいえ、どんな世界にも美味しいだけの話なんか無い。『ロスト・・・』は離婚した元夫の映画監督スパイク・ジョーンズとの冷え行く関係を題材にしたソフィアの半自伝的作品だし、ケイジがスターになれたのは血縁に頼らずに仕事に真剣に打込んだからこそ。コネのお陰で世に出ることは人より簡単でも、成功するにはやはり人並み以上の努力や代償が必要なのだ。まあ、庶民の立場からすると”世に出れる”だけ羨ましいんだけどね。